カナダに来たばかりの頃、しばらくトロントに暮らしていました。仕事もなく、生活に慣れようと街をうろつきまわっていたように思います。ROMはその時に一度訪れているはずです。残念ながら記憶には何も残っていませんが…。
Royal Ontario Museum(王立オンタリオ博物館)
トロント大学の近くにあるこの博物館には世界各地の芸術、文化、生物種の多様性、恐竜を含む古生物化石など、自然史についての展示があります。
2021年に新たに古生代までの時代に注力した新しい展示が開設されました。“Dawn of Life” です。ロッキーで馴染み深いバージェス頁岩の貴重な展示が見られます。
ぜひ訪れてみたかったROMの古生物たちの展示を少しご紹介します。
クリスタルと呼ばれるブロア通り側の入り口は改装の為に利用できません。クィーンズパーク側から入ります。特別展示のアウシュビッツ展のせいか入り口には金属探知機の保安検査所が設置されていて、オープン時間から行列していました。
入口のホールに鎮座しているフタロンコサウルス
2階の“Dawn of Life”の展示に向かいましょう。
Willner Madge Galleryとも呼ばれるこの新しい展示は、古生代のころまでに起きた生物学的な進化の大きな出来事を12のシーンに区分して展示しています。
ダンクルオステウス頭部のレプリカと一緒に解説盤が入り口にあります。
ストロマトライト、光合成と酸素の発生
シアノバクテリア(光合成細菌、藍藻類)が作りだした層状の塊。現生のものはオーストラリアのシャーク湾のものが知られています。30年ほど前のNHK特集「生命40億年はるかな旅」で紹介されていましたね。カナダでも化石状態のものは見られるのですね。北西準州で見つかったストロマトライトに触れます。
ミステイクン・ポイント(Mistaken point Ecological Reserve)
ニューファンドランド島にある世界遺産。およそ5億8千万年前のエディアカラ生物群の化石が見られます。キャベツやら妙なニックネームが付けられていました。
ニューファンドランド島にある世界遺産。およそ5億8千万年前のエディアカラ生物群の化石が見られます。キャベツやら妙なニックネームが付けられていました。
バージェス頁岩
今もROMの研究者たちは毎年ロッキーを訪れて化石の採掘を行っています。豊富な収蔵化石の中から素晴らしいバージェス生物群の化石を見ることができます。
フィールドのインフォメーションでもティレル博物館でもバージェス頁岩の化石を見ることはできます。しかし標本の豊富さでROMにはかなわないのでしょう。
マーレラ(Marrella)のこんなにきれいな化石は見たことがありませんでした。
フィギアと共に展示されているハルキゲニア(Hallucigenia)
このフィギアが欲しい。
奇妙奇天烈と表現されるバージェス動物群の代表的な一つ。5つの目と伸びた口吻は現生の生物に見られない変わった特徴です。
そしてアノマロカリス(Anomalocaris)
ワプティア(Waptia)の化石には身体の中に卵が見られます。
日本人研究者の大澤果那さんが調査した新種 𝘜𝘳𝘴𝘢𝘤𝘵𝘪𝘴 𝘤𝘢𝘮𝘰𝘴𝘢 が展示されていました。
この化石標本のレプリカがティレル博物館にあります。左下にはエビと間違えられた触手とクラゲと間違えられた口吻も展示されています。
これらの常設展示の前にはタッチパネル式の説明デバイスがあります。展示化石の詳細な画像を拡大してみたり、展示にはないイラストの復元図などが見られます。
古生代の海の生物化石を展示するコーナー
Anticosti Island(4億4千7百万年-4億3千7百万年前 オルドビス紀)、
Miguasha National Park(3億8千万年 デボン紀)、
Joggins Fossil Cliffs (3億1千万年前 石炭紀)など、カナダ東部の世界遺産の場所は動画による説明が見られます。
多種多様な三葉虫の化石
オンタリオ産の化石も多数展示されています。
ダンクルオステウスの幼体の頭部化石。触れるなんて…
成体のレプリカ展示ホールの様子
この後は古生代後期の石炭紀やぺルム紀に植物や両生類が地上に進出する様子などの展示があります。“Dawn of Life”を抜けると恐竜の時代へ。
この辺りは改装中で隙間風も入り込んでましたね。一昨年日本に行っていたはずのZuulも帰ってきていると思ったのですが、展示はありませんでした。ティレルでは見ない恐竜たちもいくつか展示されています。
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