2016年6月24日金曜日

小さな花、初めての花。

7月の見た花々の中からいくつかの花を紹介します。普段はあまり出かけないところへハイキングに行けたので初見の花もありました。とても小さな花が多いので見つけるのは大変かも…。

キキョウ科ミゾカクシ属(Kalm's Lobelia, Lobelia kalmia
水辺に生える小さな青い花です。キキョウ科なのに左右対称の花は珍しいですね。園芸種はハンギングバスケットによく見ます。

イチヤクソウ科ウメガサソウ属オオウメガサソウ(Prince's-Pine, Chimaphila umbellata
バンフの近くでも葉はよく見かけるのですが、何故か花を見ません。よく見るのはBC州ですね。

ハマウツボ科ママコナ属(Cow-Wheat, Melampyrum lineare
ゴマノハグサ科に分類されていた半寄生の植物は寄生植物のハマウツボ科に分類が変わったようです。キニーレイクへのトレイルにて。

ケシ科キケマン属(Pink Corydalis, Rock Harlequin Corydalis sempervirens
Capnoidesという分類もあるようです。コマクサ属のケマンソウに近い種のようです。日本ではオボロエンゴサクと呼ぶとか…。キニーレイクへのトレイル、雪崩の跡にて。

ハマウツボ科コゴメグサ属(Eyebright, Euphrasia arctica
やはり以前はゴマノハグサ科に分類されていました。目薬に利用されていた薬草だそうです。英名はそんなところから名付けられたのでしょう。キニーレイクへのトレイル、ロブソンの見える辺りにて。

リンドウ科リンドウ属(Moss Gentian, Gentiana prostrata
小さなリンドウです。日本にもコケリンドウという花がありますが、違う花です。

ナデシコ科マンテマ属(Moss Campion, Silene acaulis
日本では園芸種と合わせてコケマンテマと呼ばれるようですね、正しい和名なのかどうかは調べきれなくてわかりませんでした。7月の高山帯に鮮烈なピンク色を見せてくれます。

バラ科(Partridgefoot, Luetkea pectinate
ロシアの探検家の名前を記念して名付けられた1属1種。英名はその葉がヤマウズラの足跡に似ているから。イチゴと同じように匍匐茎で増えるので広い範囲にマット状に見える。
ここにも秋山本の間違いを一つ発見。

ツツジ科シラタマノキ属(Western teaberry, Gaultheria ovatifolia
これは初めて見ました。エバレイク・トレイルにて。

キク科ウサギギク属(Lake Louise Arnica, Arnica louiseana
ウサギギクの仲間はたくさん咲くのですが、このレイクルイーズの名前を冠したアーニカにはなかなか会えませんでした。スタンレー・グレーシャーのトレイルにて。

ユキノシタ科ユキノシタ属(Wedge-leaved Saxifrage, Saxifraga adscendens
Teaberry同様に初めてみました、あんまり高いところへ歩きにいかないからですかね。
岩間に小さく集まって、しかも咲き始めなので何の花なのかちっともわかりませんでした。
センチネルパスのトレイルにて。


ロベリア以外の花はコンデジで仕事中に撮ったので、多少やっつけ気味の写真です。(笑)
その花が咲いている時期にアップするっていうこだわりは無理でしたが、もう一つぐらい花図鑑も更新したいなぁ。


下見を兼ねて花を撮る

観光だけでなく、歩くことを行程に組み込んだツアーを明日から担当します。ハイキングを謳っているもののきっと皆さんあんまり歩きたくないんだろうなぁ~、でもお花は見たい!っていうパターンが予想されるわけです。
良さそうな行程なんですけど、手配の詰めも甘いし…。もうひと押し欲しいですね。
アツモリソウも撮りたかったし、下見に出かけます。

ゴゼンタチバナ(Bunchberry)春が暖かったせいか、普段よりたくさん咲いている気がします。

ツバメオモトの仲間(Queen's cup)もいつもの年より早そう。

結構、地味な花。キイチゴの仲間(Five-leaved brambles)

さらに地味は花。ズダヤクシュの仲間(Foamflower)

オダマキもたくさん咲いてます。(Yellow columbine)

キイチゴの仲間(Thimbleberry)ではハチが忙しそう。

アツモリソウがツアーの時まで残っていてほしい。(Yellow lady's slipper)

もう一ヶ所、違う場所へ。こちらは下見とは関係なく、花探しに。目当ての花は見つかりませんでした。
分類がゴマノハグサ科からハマウツボ科に移ったIndian paintbrush。

なぜか心惹かれる、チョウノスケソウ(White dryad)の蕾。

一部の方々に好評につき、ピカ探し画像を4連発。まずは初級から。
これも初級。
これは難しいかも。
ちゃんと写ってますよ。
じっくり探してみて下さい。しばらく楽しめます。

2016年6月9日木曜日

花の図鑑 3 カタクリ

この時期、バンフの日本人たちの間でよく話題に上がる花があります。
「今年のヒーリーはいつ頃だろうか?」
ヒーリー・パスを中心とした標高の高い草原が黄色のカタクリの花で埋め尽くされる様子はいかにも日本人が好む“お花畑”そのものの景色です。雪解けの直後から開き始めるカタクリの花々が満開を迎えるのはいつなのか?
カタクリの群生は日本でも人気がありますし、日本人は同種の花がたくさん集まって咲く景色が好きなようですね。

英語での名前はGlacier Llily、Yellow Avalanche Lily、Dogtooth Violet、Trout Lily、Fawn Lilyなど。
古くから食用や薬用に利用されていたせいか、いろいろな名前で呼ばれていますね。“氷河のユリ”や“雪崩のユリ”という名前が、ここカナディアン・ロッキーではしっくりきます。
Dogtoothの名前はヨーロッパで見られる同属の花で、鱗茎の小片が“歯”の様に見えることから名付けられたとか…。
Trout、Fawnはそれぞれ“マス”と“小鹿”の意味で、葉にできる斑模様をそれぞれの模様に例えているようです。

学名: Erythronium grandiflorum
Erythroとはギリシャ語源で“赤色”の意。種小名は“大きな花”という意味です。
和名のカタクリは鱗茎の小片が栗に似ていることとか、万葉集に載る大伴家持の歌にある“堅香子”が転じたものだとか、所説があります。
世界中に約20種があるようですが、アルバータ州で見られるのはこのgrandiflorumの1種だけです。

7~8年の生育期間を経て、2枚の葉が育つとようやく花をつけると言われます。

日本のカタクリほどではありませんが、雄蕊は3本づつ長さが違います。

日本のカタクリは栄養繁殖はしないとWIKIにありますが、大きな群落を作ることも珍しくないので種子で増えるだけでなく、栄養繁殖も行われていると思います。

夜には花を閉じ、昼に下向きに花を開き、外花被片が上に反り返ります。花被片や雄蕊、雌蕊は紫外線を吸収しやすく、マルハナバチやチョウの複眼に見つけやすくなっています。
下向きに花を開く理由は雨などで中心部を濡らさない為、花粉を運んでくれるハチやチョウなどの虫には入りやすく、送粉にかかわりのない虫が入りにくいようにする為です。

雄蕊の白い花と赤い花がありますが、赤い方が若い個体なのだそうです。

スプリング・エフェメラルと呼ばれ、雪解けと共に花を開きます。マルハナバチの女王蜂はこの花から得た栄養で巣を作ります。夏には枯れてしまう葉は林床の他の植物たちに燐を還元する役割をしています。
草原の群生地も見事ではありますが、森の中に静かに咲いているカタクリが好きです。
7月3日 追記
花の時期を終えたカタクリの葉は黄色く枯れ始めます。
そして花は実に…。

2016年6月1日水曜日

ハイキング、事始め

今シーズンの歩き始めは会社主催のハイキングガイド講習会。新人含めて11名で歩いてきました。
 年々登りがきつくなる…、大した距離を歩いたわけじゃありませんが。
ルックアウトからの景色。
カタクリの花が咲く場所にサイドトリップ。次の花図鑑はこれですかね。
花咲くトレイルの奥には湖。
五葉松を枯らせてしまう菌類(White pine blister rust)や、
小さな花(Alpine bearberry)を見て。

1日置いて、お休みにも歩いてみます。やはりカタクリの咲く場所へ。
歩き始めの森の中にはホテイランやクレマティスが咲いています。
カタクリが見え始める辺り、途中のビューポイントから眺める湖。
トレイルの終点は氷河の作った圏谷の中。
圏谷のガレ場にはナキウサギがたくさんいます。交尾の時期なのでしょうか、いつもの“ピィ”という声ではなくてもっと長く歌いながら、走り回っています。
この中にナキウサギが写っているのに気づきますか?

圏谷の下にはこんな色鮮やかな小さな池もあります。
ここに咲くカタクリの葉には日本のカタクリのようなまだらな模様があります。
今年はどのくらい歩けるだろう…。