2025年12月19日金曜日

大絶滅展 生命史のビッグファイブ 11月26日

 科博で開かれている「大絶滅展」に行ってきました。今回の帰省のタスクというかイベントの一つ。5回の大量絶滅という出来事を通して生物の進化、繁栄を紹介するユニークな試みです。

開催当初や週末はかなり混雑しているということだったので、もちろん平日に行ったわけです。朝はまだしも時の経過とともに充分混雑してきましたよ。

上野駅公園口を出ると銀杏の黄葉が見事でした。青空とのコントラストの美しいこと。


大きな地球儀にはその時代の大陸の様子や絶滅の原因にもなったLIPの状況が映し出されています。
地球儀を囲むように5つのブースに区分されてそれぞれの絶滅の前後にかかわる古生物の化石標本や復元レプリカが展示されています。
巨大火成区(Large Igneous Province : LIP)という言葉を初めて知りました。

横に時間軸と縦に生物科数を表した大量絶滅の一覧。絶滅の時期や呼称、要因、影響を受けた生物種と絶滅後に反映した生物種を簡潔にまとめてあります。
展示ブースはそれぞれの色と時系列による順番の数字で表されていました。


1-青の展示 オルドビス紀末絶滅
最初の絶滅前の多様性としてカンブリア-オルドビス紀の化石展示。
私にとってはなじみのバージェス動物群です。ここでは同じ時代の澄江動物群やバージェス動物群を継承した様なオルドビス紀のフェゾウアタ頁岩の標本を一緒に展示してあります。

ハルキゲニア(ダークグレイ色)と澄江の同類(ベージュ色)

フェゾウアタ頁岩のマルレラ類
他にピカイア(バージェス)とユンナノズーン(澄江)も比較展示されています。

ひと際目を引くサカバンバスピスのレプリカ。かわいいですね、顎ないし。復元模型だけでなく実物の腹側の骨板の化石も展示されていました。

この絶滅の後には、地上に進出した初期の植物化石群として知られるライニー・チャートなどが展示されています。


2-緑の展示 デボン紀末絶滅
デボン紀は魚の時代と呼ばれますね。多様な魚たちが繫栄していきます。

この時代を代表するのはやはりダンクルオステウスでしょうか。デボン紀後期絶滅まで生態系の頂点に君臨していたようです。各地の自然史博物館で頭部のレプリカを見ます。
モロッコで見つかった頭骨と胸甲の実物化石が展示されていました。実物は初めて見ました。

フンスリュック粘板岩はデボン紀前期の海の中の生物が軟体部分まで保存されている化石群です。バージェスのような化石が他の時代、地域にも見られるのですね。
右端のマルレラ類の化石がとても綺麗でした。

この絶滅の後、石炭紀にも軟体部分が残された貴重な化石群があります。メゾンクリーク生物群では炭酸鉄のノジュールの中に閉じ込められた化石が多く見られる様です。
代表的なタリーンモンスターはその謎だらけの姿をしたレプリカとともに実物化石が展示されています。


3ー赤の展示 ペルム紀末絶滅
シベリア地域での巨大なLIPが原因といわれるこれは史上最大の大量絶滅で、実に96%もの生物種がいなくなりました。
それまで海で繫栄していた三葉虫もこの絶滅で姿を消しました。哺乳類型爬虫類と呼ばれた単弓類も減少しています。

コティロリンクスはペルム紀前期の北米に生息していました。大きな身体に対してアンバランスな小さな頭部が特徴的な植物食の単弓類です。頭頂部にある小さなくぼみは光を感じる第三の目だと考えらているそうです。


4ーオレンジの展示 三畳紀末絶滅
ワニ系の大型爬虫類や単弓類(哺乳類型爬虫類)、大型の両生類など地上で繁栄していた生物が絶滅し、恐竜たちの時代に移行します。

レドンダサウルス(左)とクリオロフォサウルス(右)
レドンダサウルスのような植竜類と呼ばれる現生のワニに似た系統の大型爬虫類は姿を消して、クリオロフォサウルスのような肉食恐竜の時代に移行していったということなのでしょう。クリオロフォサウルスの小さな鶏冠は何の為にあったのでしょうね。


5-紫の展示 白亜紀末絶滅
KーPg境界と呼ばれる隕石の衝突が原因と考えられる大量絶滅。非鳥類型の恐竜やアンモナイトが絶滅したことで最もよく知られているものでしょう。翼竜や海生爬虫類も消えました。

この展示には当然のようにティラノサウルスやトリケラトプスさんが居たわけですが、とても興味深かったのがこれでした。
チチュルブ・クレーターの縁から掘削されたコアサンプルです。イリジウムを含む境界線の地層標本はティレルにも展示がありますが、隕石の衝撃を物語る地層サンプルはとても珍しいと思いました。

特別展の出口付近の廊下に担当された研究者の皆様の紹介がありました。情熱にあふれる科博の展示は素晴らしいですね。大好きです。

特設のミュージアムショップにダンクレオステウスやタリーモンスターと一緒にアノマロカリスのぬいぐるみが販売されていました。昨年ティレルで見かけたものと比べてみてください。
あまりかわいくないかも…

こちらがティレルで販売されていたもの
ちょっと欲しかった…