2020年7月2日木曜日

6月、百花繚乱

日照時間も伸び、気温の上がる今日この頃。いろんな種類の花が咲き始めます。
街の周りを歩き、ハイキングコースへ出かけ、花を撮ることを楽しめる時です。

少し離れた場所まで出かけるときは開花のタイミングを計っているんですが、結局待ちきれずに出かけてます。
もっとたくさんの花を撮ったんですけど、思うように撮れてないことが多くて載せられませんでした。自分的に…。
毎年同じように花を撮ってますが、このブログに載せているのはいつもその年、その時に撮った写真にしています。


エゾノウワミゾザクラ
バンフ大通りの街路樹。もちろん野生種ではなく植えてあります。桜の仲間で北米では5月に咲くところが多いのでしょうメイデイと呼ばれます。別名はバードチェリー、そろそろ実ができ始めている頃でしょうか。
Mayday
Prunus padus


ウサギギク
林床に大きめの黄色い花が目立ちます。日本のウサギギクはへら状の細長い葉がウサギの耳を連想させることから名付けられています。同種ですが、カナダのものはハート形の葉が特徴です。種名も葉の形を説明しています。
属名はギリシャ語のarnakis(lamb's skin)から。葉や苞葉の質感が似ているものがあるそうな。"Wildflowers of Alberta"より。
Heart-leaved Arnica
Arnica cordifolia


サンゴネラン
あまり大きな花ではないのですが、クローズアップするとラン科らしい作りの花形をしています。腐生植物なんでしょうね。鮮やかな赤い色が目立ちます。
Striped Coralroots
Corallorhiza striata


クレマティス
園芸種のクレマティスは萼片が多く風車のように見えますが、カナダの野生種は少し地味ですね。occidentalisという種名をよく見るのは"西洋の"という意味だからです。
Blue Clematis
Clematis occidentalis


チゴユリ
日本のチゴユリとは少し違いますね。ヨーホー国立公園の方でよく見かけます。日本のものよりずっと背が高いみたいです。赤い実がなります。
Fairly bell
Disporum trachycarpum


スミレ
ここではスミレは4種ぐらいしか見られません。林床のわかりにくいところに小さな小さな花を付けます。花はタチスミレに似ていますが、丈も葉も全く様子が違います。
Kidney-Leaved Violet
Viola renifolia


ユキザサ、マイズルソウ
旧ユキザサ属はマイズルソウ属に含まれるようになりました。バンフのボウ川沿いの遊歩道などそこかしこで見られます。珍しい花ではありませんが、小さな花をクローズアップしてみると何ともかわいらしい様子です。この後、縞模様の丸い実ができます。食べたらおなかこわしますけど…。
Star flowered False Solomon's Seal
Maianthemum stellatum


アツモリソウ
黄色いアツモリソウの仲間。日本にあるキバナノアツモリソウとは違います。次の花の図鑑シリーズをレディスリッパーでやろうと思ってます。詳しくはそちらで。
ランの花らしく独特の花形でファンも多い花ですね。
Yellow Lady's Slipper
Cypripedium parviflorum

Mountain Lady's Slipper
Cypripedium montanum

Hybrid


エフデグサ
ハマウツボ科の半寄生植物。これらの半寄生の植物は以前はゴマノハグサ科に分類されていましたが、変更されています。根粒を作って荒れ地を開拓していくチョウノスケソウの群落の中に生えているのをよく見かけます。
日本には無い植物なのでお花好きの人の目を引きます。
Indian paintblush
Castilleja miniata


フウロ
属名はgeranos(crane)から付けられたそうです。なぜ鶴か…?
世界中に約200種があって、その中には実の形が鶴のくちばしに似ているものがあるから…だそうです。
Wild White Geranium
Geranium richardsonii


タカバラ
アルバータ州の州花。ワイルドローズでございます。
オーソドックスな車のナンバープレートには"Wild Rose Country"の文字と共にこの花のイラストが描かれています。(最近違うデザインのナンバープレートもある。ホッケーチームのデザインとか。)
花の後にできるバラの実がローズヒップで、ビタミンCが豊富なお茶になります。
Prickly Rose
Rosa acicularis


キケマン
ケシ科のエンゴサクなどと同じキケマン属。火事の跡などに生えるパイオニアプラントです。エンゴサクは"延胡索"と書き、漢方薬の名前です。
Golden Corydalis
Corydalis aurea


ワスレナグサ
標高の高いところに咲くイメージだったんですけど、バンフで見つけました。
公園じゃないですよ。カスケードガーデンに咲いてるのは園芸種です。
Forget-me-not
Myosotis asiatica


コケモモ
ここにはクマコケモモって呼ばれている植物が沢山あるんです。でもこのリンゴンベリーはあまり見かけなくて。小さな植物なので気づきにくいですね。
Lingonberry
Vaccinium vitis-idaea


トチナイソウ
日本では希少種のようですね。ここでは群落を作って咲いてます。やはり最近分類が変わって、古い本に紹介されているものとは種名が変わってます。
Rock Jasmine
Androsace lehmanniana


カモメラン
この種も分類がしづらいようですね。Galearisと表記されることもあります。
orchisとあるようにこの植物にも塊茎があります。
Round-Leaved Orchid
Amerorchis rotundifolia


キンバイソウ
日本には黄色い種類ばかり、だからキンバイソウ。トロリウスは園芸種でもポピュラーです。ここには野生の白い花があります。
ボウ湖の湖畔に雪解けの頃に咲いてます。花に興味を持つ前に名前を憶えていた花は3つしかありませんでした。この花はそのうちの一つです。
White globe flower
Trollius albiflorus


アツモリソウ
あえてでもないんですが、別枠。他のアツモリソウとは咲く時期が微妙に遅いから…。
ここではさほど珍しいわけでもなく、バンフではボウ川沿いの遊歩道でも見られます。
Sparrow egg Lady's slipper
Cypripedium passerinum


ムシトリスミレ
食中植物です。よく見ると葉の部分に蚊のような虫がくっついてます。湿った葉に付いた虫を消化吸収するそうな。貧栄養の湿地に育つ植物の戦略。
Butterwort
Pinguicula vulgaris


ゴゼンタチバナ
林床に咲く小さな花ですが、これでもハナミズキの仲間です。白いのは苞葉で花はその中心にぷつぷつと見えます。秋には赤い実、そして紅葉が見られます。
Bunchberry
Cornus canadensis


アンブレラ
日本にもあるのだろうか?タデ科の植物で傘のような形から名付けられたみたい。
Umbrella Plant
Eriogonum umbellatum


ツレサギソウ
ツレサギソウ属に分類されるランの仲間はいくつかこの辺りにあるのですが、これが最も一般的に見られる種類です。
Blunt-Leaved Orchid
Platanthera obtusata


キイチゴ
イチゴなのに葉っぱが5枚。この花も湿気の多いヨーホー国立公園の方でよく見かけます。
Five-leaved bramble
Rubus pedatus


もう一度アツモリソウ
こんなに花を見たり、調べたりするきっかけになった花。一番好きな花です。
Mountain lady's slipper
Cypripedium montanum


これからは亜高山から高山帯の花が雪解けとともに咲き始めます。幸いにも時間はある。どれだけ撮れるかわかりませんが、普通ではできないことだから、また花を撮りに出かけてみます。

2 件のコメント:

  1. 一つずつお花の名前も見ながら楽しみました。ゴゼンタチバナの学名はねcanadensisとあるけどカナダで発見されたとかですか。
    以前インスタのトチナイソウの形状がumbelと呼ばれていると教えていただいてそれからお花の形状もおもしろいなと思うようになりました。

    しかしラン科の多さはさすがですね。成功した植物の一つと言われるのもわかりますね。

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    1. 𝘤𝘢𝘯𝘢𝘥𝘦𝘯𝘴𝘪𝘴は確かに"カナダの"という意味です。Wikiによると学名を付けたのはリンネだそうです。基準標本がカナダのものだったんでしょうね。

      umbelは傘のことで日本語では"散形花序"と呼ばれます。花や葉の形や付き方は見分ける時の基本なんです。

      蜜もないのに虫をおびき寄せるために花の形を独特の形に変化させてますね。成功したかどうかはよくわかりませんが、適応進化という意味では最も進化している種類だと思います。

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